社外参謀通信-2024年3月号

2 現在、私が副代表をしている税理士法人久米会計は、元は父が久米会計事務所として開業し ました。そもそもは継ぐ意思はなかったのですが、大学の時に母から「簿記の勉強くらいし といたらいいんちゃう?」と言われ、なんとなく簿記の勉強を始めたんです。それが意外と ハマってしまって。簿記1級まで取ってから、税理士の資格も取ろうと決意。早めに取得する ため、大学院に進学しながら2科目は受験し、税理士の資格を取得しました。 そんな時に、久米会計事務所の従業員が全員辞めてしまうという事態が起こってしまったん です。私は家の事務所にすぐ入るつもりはなかったのですが、人手が足りず、急きょ所属す ることになりました。その後、兄も入所し、父が亡くなった現在は、兄と私が中心に15年以 上経営しています。 ■簿記の勉強がハマり、父の会計事務所に入所 ■従来のやり方に違和感…決算書の数字を社長自らが書くスタイルに 入ってすぐの頃は、顧問先の社長との打ち合わせに父と一緒について行くことが多く、最初は 基本的に父の隣で話を聴くだけでした。でも2~3年経った頃、父から「今回は自分で説明して みなさい」と言われて見様見真似で社長と話をするようになりました。その頃の社長との打ち 合わせは、ただ決算書を上から読み上げて、会計事務所が立てた計画を説明して「これでいい ですか」と確認するだけでした。会計事務所が立てた計画を読み上げることに、私としてはと ても違和感がありました。社長の会社なのに、なぜ税理士が計画を立てるのか、まるで財布を 会計事務所に預けているみたいに感じがしました。「これでいいのだろうか?」とずっと感じ ていました。 一緒に働いている兄も同じ違和感を持っていて、ある時、東京の会計事務所の研修に参加して きたんです。そこは過去ではなく未来の話をすることを重点に置いている事務所でした。その やり方を参考に、打ち合わせの時に社長が自分で未来の決算書の数字を書くスタイルに変える ことにしました。すると、社長自身が自分で数字を見て考えることで、経費や利益に対する考 え方をちゃんと理解できるようになっていきました。お金を貯めるため、利益を出すためには 何が必要か、ということを考えられるようになり、10年くらい続けたところで、だいぶ社長の 動き方に変化が。決算書を活かし、成長する会社が増えてきたんです。久米会計の強みは、社 長が主体的に考えて書き、社長自身で計画を立てることをサポートできる点だと思います。

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