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2023.08.23
お知らせ

【社外参謀’s File #02】橋野博幸 大企業で養った「人を見る力」。志ある社長の右腕として、夢の実現を目指す

中小企業と心をひとつに、外から支える「社外参謀」。JCFに所属する社外参謀たちの軌跡と中小企業への思いをお伝えする『社外参謀’s File』をお届けします。第二回目は、経営コンサルタントの橋野博幸。大企業で30年勤めた経験から得た多面的な視点について、熱く語ります。

 

■人のポテンシャルを活かせる自分の力に気づき、独立を決意

僕は大学を卒業してから約30年、大手電子部品メーカーでサラリーマンをしていました。国内子会社の人事から始まり、本社海外人事を経て海外工場に赴任し、管理部門で新しい人事制度を作るプロジェクトを主導。本社人事に戻ってきてから数年後に突然、売上4000億円規模の事業本部の企画に異動になりました。ここで経営には人事戦略と事業戦略の2本柱が大事だということを体感しましたね。50歳手前になってある事業所の管理部長となり、事業所全体の風土活性化にも取り組みました。でもそんな時に、僕でなくても務まりそうなポストへの異動の噂を耳にして、会社の人の使い方に疑問を感じるようになりました。

その少し前に、会社で用意されたセカンドキャリアセミナーを受けたのですが、「いずれ役職定年だから会社に頼らないライフプランを考えなさい」と事実上言われているようなものでした。でも、そのころ会社が掲げていた高い成長目標実現のためには、中間管理職がまだまだ必要なはず。年齢だけを基準にして役職定年させる現状に、納得できない思いが募りました。

また事業企画時代、ダメ社員のレッテルを張られてしまった部下たちを抱えていた時に、彼らのポテンシャルに気づいて、活躍してもらうことが多かったんです。本当は良いところがあるのに、何かがきっかけでつまずいてしまったがために、実力を発揮できない人がたくさんいる。ところが、大企業には優秀な人が次々に入ってくることもあり、そのことがあまり問題として表面化してこないんですね。

こういったもったいない人の使い方をしていると気づき、それなら人のポテンシャルを活かすことのできる自分の力を必要としている会社は他にもあるはずだと、独立することにしました。人事の大事さを現場レベルで知っているのが僕の強みです。

 

■経営者の右腕となるためにスキルを磨き続ける

今の仕事内容としては、中小企業向けのコンサルが8割ほど。他には、大手企業向けに管理職育成のプログラムを開発し、講師もしています。

コンサルでは、人事制度構築や組織開発(チームビルディング)、管理職や次世代幹部育成プログラムなど、人事や組織に携わることが大半です。さらには「右腕顧問®」という商標を取り、経営者の右腕として、夢を実現するパートナー型のコンサルタントとして関わる会社も増えてきています。

JCFでは、経営の王道を伝えていこうという考え方に賛同して社外参謀大学を受講しました。以前から自分に必要なスキルをいろいろと勉強していましたが、お金にまつわる部分をより強化しようと思いました。また、総合診断医的な企業支援をする上で、五つ星経営フローの「ビジョン」「戦略」「組織」「ヒト」「カネ」の五つの分野の高い基準を理解し、自分のレベルの確認もしつつ、自身の中に落とし込みたいと考えたのもきっかけの一つです。修了後もビジネスの幅を広げられると感じ、自分の気持ちに一番近かったことが受講につながりました。

最近は、DX(デジタルトランスフォーメーション)のプロジェクトでカオナビ担当として、事業を進めています。カオナビとは、人事情報のデータベースや評価運用など人事の業務を効率化できるタレントマネジメントシステムのこと。賢い使い方など、ノウハウを蓄積しているところです。

また、五つ星経営アカデミープロジェクトでは、リーダーを務めています。新しく参画された講師の方に講座運営面での知識や技術、集客支援も行ったり、オーナー講師として集客に取り組んだりしているところです。今後は、企業と提携して、OEM講座の立ち上げも予定していて、まだまだスキルを磨き続けています。

 

■人を見る力は「父親の教え」が原点

中小企業へのコンサルタントを始めようと考え始めたのは、ある勉強会で零細企業をターゲットにコンサルをしている人と知り合ったことがきっかけ。それまでは、自分も大企業にいたので、大企業向けの人事や事業の支援をしようと考えていました。けれど、その人から「零細企業では大企業で当たり前にできることが全然できていないことが多い」と聞いて、考えが変わったんです。

僕は大企業出身者でも中小企業の気持ちがわかるし、今コンサルをしながら、社長の目線で一緒に考えることができている。それはなぜだろうと考えたら、亡くなった父親の影響があるように思います。僕の父は、幼い頃に戦争で父親を亡くし、母親と弟2人がいたので、アルバイトをしながら定時制の学校に通っていました。でも学歴はなくても、本や実体験で勉強し、仕事でもさまざまな経験を積んで努力をしてきたんですよね。特に人との接し方については実体験でかなり学んだようで、僕が小さい頃からよく「いろいろな人と付き合えよ」と言われていました。当時はあまりよくわかっていませんでしたが、その後、僕がメーカーに就職して、実際にいろいろな人と出会って、初めて気づくことがあると知ったんです。例えば、高卒の現場社員だけど、厳しいベテランのおっちゃんおばちゃんと上手にコミュニケーションを取っているのを見かけた時や、マレーシアで仕事をサポートしてくれた、現地の若い女性社員の優秀さに気づいた時など、本当に感心しました。肩書きや性別で人を判断してはいけない、と気づき、父の「いろいろな人と付き合え」がより響きましたね。幅広い多面的な視野が持てるようになったことで、中小企業の視点にもなれるんだと思います。

 

■志のある社長とともに夢を追いかけ、社員の活性化を目指す

僕のアプローチのベースは、社員のポテンシャルを最大限にいかすために、経営者を含めて持っている固定観念やメンタルブロックをいかに外すか、だと思っています。社長や研修の参加者と話す時に、いろいろな角度から問いを投げかけ、相手が自分で考え、気づきを促していく。自分で気づいたら見える世界が広がって自信がつくし、成長実感もありますよね。社長さんの中には、これから何をしたいのか迷い、踊り場にいる方もいます。僕と一緒に考えることで、自分の中にある志に気づいてほしい。僕の会社の経営理念に「志のある経営者と付き合う」とありますが「俺も志あるけどあんたも志あるはずやんな、志あると思てるからあんたと付き合ってんねん!」といつも思っています(笑)。

中小企業は大企業と違って、規模が小さいしお金があまりないです。大企業は合理化のために大金をかけてシステム改善をしますが、中小企業ではひとり頭の負担が大きく、難しい。だから大企業と中小企業の生産性格差がどんどん開いていく一方なんです。大企業の平均の付加価値額は約1200万円で、中小企業は約600万円で、労働分配率(人件費の割合)は製造業平均の50%前後と考えると、大企業は年間600万円が社員にいきますが、中小企業は300万円しかない。給料の額面で言ったら、中小企業は年250万円くらいですよね。これでは健康で文化的な生活は望みにくいはずです。中小企業で社員の給料を増やしていくためには、本気で頑張って生産性を上げていく必要があります。そのためには、ちゃんとしたビジョンを作って、やるべきことをやらないといけない。これが僕の仕事の源泉です。これからも、日本の中小企業の社員をもっと活性化させて、志のある社長の夢を一緒に追いかけながら、会社を成長させていきたいですね。

 

<プロフィール>

橋野 博幸(はしの・ひろゆき)

株式会社LTSコンサルティング代表取締役。神戸大学経営学部を卒業後、村田製作所グループで国内外人事、国内外工場管理、事業企画など、多様な業務を経験。早期退職後、2018年に独立。事業経営と人事の知見を活かし、総合的経営支援や人事制度再構築等を手掛けている。趣味はスキューバダイビングやスキーなど。プライベートもアクティブに楽しんでいる。

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